パリとベルリンで撮影された WORLD ORDERの「THE NEXT PHASE」。スーツをビシッと着こなした謎の日本人たちが街角で繰り広げるパフォーマンスに、パリジャンや観光客たちが見せるリアクションも見どころのPVです。とくにパリはお茶目で解放感があって、いい意味でごちゃごちゃしていて、雰囲気が最高です。
このPVで思わずフランスの映画監督で俳優・パントマイマーのジャック・タチを思い出しました。彼の「プレイタイム」という映画だったと思いますが、七三分けに眼鏡、首からカメラをかけたステレオタイプの日本人観光客が登場するのです。映画が公開された1967年当時には世界中にああいう感じの日本人観光客が散らばっていたんでしょうか。ハリウッド映画で描かれるようなステレオタイプな日本人像を逆手に取った WORLD ORDER が、パリの街角で外国人を驚かせている光景はちょっと痛快です。
シャープで時にユーモアも感じさせる WORLD ORDER のパフォーマンスを、ジャック・タチが見たらどんな感想をもらしたのでしょう。科白がほとんどなく音楽とサイレント映画のようなパントマイムでつづられるタチの代表作「ぼくの伯父さん」(1958年)は、パリの古い下町に住む「ぼくの伯父さん」ことユロ氏が、すべてがオートメーション化された無機質でモダンな家やプラスチック工場で悪戦苦闘するコメディです。超アナログなユロ伯父さんと、ヒューマノイド的な WORLD ORDER とは立ち位置は違うのでしょうが、WOが現代の「ぼくたちの伯父さん」になってくれたら面白いなと夢想しています。