猫は、猫のおかさんのお腹の中に
いた時のことを、ときとき思い出します。
なんだかしらないけど、おかさんのお腹のなかから
「外」へ出て行くのがとてもこわかたのです。
「もうここを出て行かなくてはいけない!」
でなければ、
猫も猫のおかさんも死でしまうかもしれない。
それが、とてもすごくわかていたのだけれど、
それでも「外」がこわくて、「外」が死ぬほどこわくて、
生まれたくないでした。
そんなとき、声がしました。
「まあいいから、ちょっと生まれてきてごらんなさい。
思いもよらない素敵なことが待っているんだから。」
声は言いました。
「だいじょぶ、だいじょぶ・・・ ぽこぽこぴー」
猫は生まれるために、
死ぬほどのこわいをしているのに・・・
だいじょぶなりますか?
ぽこぽこぴー なりますか?
と思った瞬間、
猫は、おかさんのおなかの狭い道を
しゅぽーんと、
すごい勢いですべり降りたのでした。